神社神道余話じんじゃしんとう よわ
宮司がたどる、神社と神道の「なぜ」
令和8年10月15日号
第6回
七五三とはどのような行事でしょうか?
―子どもの成長を神さまに感謝する人生儀礼―
晴れ着をまとった子どもたちが神社を訪れる七五三は、秋のなじみ深い行事です。なぜ三歳・五歳・七歳に祝い、十一月十五日にお参りするのでしょうか。数え年と満年齢のどちらで祝うのか、千歳飴にはどのような願いが込められているのかを、参拝者と宮司の対話から考えます。
七五三は何をお祝いする行事ですか

七五三は、子どもの誕生日のようなお祝いなのでしょうか?

七五三は、子どもが無事に成長したことを神さまに感謝し、これからの健やかな成長を祈る人生儀礼です。人生儀礼とは、誕生、成長、成人、結婚など、人生の節目に行う儀礼をいいます。

家族だけで成長を喜ぶのではなく、神さまへ感謝を申し上げるのですね。

はい。現在では記念撮影や会食も大切な思い出となっていますが、神社参拝の中心にあるのは、ここまで見守っていただいたことへの感謝と、将来の無事を願う祈りです。子ども本人だけでなく、家族にとっても成長の節目を確かめる機会となります。
なぜ三歳・五歳・七歳なのでしょうか

どうして三歳・五歳・七歳を祝うのでしょうか?

現在は一般に、三歳は男女、五歳は男児、七歳は女児がお参りします。その背景には、幼児期の節目に行われた「髪置」「袴着」「帯解」という儀礼があると説明されています。

それぞれ、どのような儀礼ですか?

髪置は、それまで短くしていた髪を伸ばし始める節目の儀礼です。袴着は初めて袴を着ける儀礼、帯解は子ども用の付け紐をやめ、大人と同じような帯を用い始める節目の儀礼です。これらが、それぞれ三歳、五歳、七歳の祝いと結び付いてきました。

昔から、年齢と男女の区別は今と同じだったのですか?

必ずしも同じではありません。儀礼を行う年齢や男女の別には、時代や地域による違いがありました。三つの儀礼が現在のような七五三として広くまとまっていくまでにも変遷があります。そのため、今の形が古代から変わらず続いていると考えるより、子どもの成長を祝うさまざまな習わしが受け継がれ、形を整えてきたと見る方がよいでしょう。

なぜ十一月十五日にお参りするのでしょうか

七五三の日が十一月十五日なのは、なぜでしょうか?

十一月十五日に祝う習わしが広まった由来には諸説があります。江戸時代、徳川綱吉が子の徳松のために成長を祈った日に結び付ける説も、よく紹介されます。ただし、これだけを唯一の起源として断定することはできません。

必ず十一月十五日当日にお参りしなければいけませんか?

必ずしも当日でなければならないわけではありません。現在は、十一月十五日を中心とする前後の休日などにお参りする家庭が多くなっています。地域の習慣、神社の受付期間、家族の予定、何より子どもの体調を考えて日を選ぶとよいでしょう。
数え年と満年齢のどちらで祝いますか

七五三は、数え年で祝うのでしょうか。それとも満年齢でしょうか?

古くは、生まれた年を一歳とし、正月を迎えるごとに一歳を加える数え年で祝いました。現在は、誕生日ごとに年齢を数える満年齢で祝う家庭も多く、どちらでなければならないというものではありません。

きょうだいで一緒に祝ってもよいのでしょうか?

はい。数え年と満年齢を組み合わせ、きょうだいが一緒にお参りする家庭もあります。子どもの成長には個人差がありますので、着慣れない装いで長時間過ごす負担なども考え、家族に合った時期を選んで差し支えありません。地域や家ごとの習わしがある場合は、それも大切にしてください。
大安でなければいけませんか

お参りの日は、大安を選んだ方がよいのでしょうか?

大安や仏滅などの六曜は、神社神道の祭儀によって定められた吉凶ではありません。七五三を大安に行わなければならないという決まりもありません。家族が安心して集まり、子どもが無理なくお参りできる日を選ぶことの方が大切です。

晴れ着や千歳飴にはどのような意味がありますか

七五三では、必ず晴れ着を着なければいけませんか?

晴れ着は、成長の節目を祝い、神さまの前にあらたまって進む気持ちを形にしたものといえます。しかし、特定の装束でなければお参りできないわけではありません。清潔で場にふさわしく、子どもが無理なく過ごせる服装であればよいでしょう。

長い千歳飴にも意味があるのでしょうか?

千歳飴の細く長い形には、子どもが長く健やかに成長するようにとの願いが重ねられています。紅白の飴や、鶴亀、松竹梅などのめでたい図柄を表した袋も、七五三らしいものです。ただし、千歳飴は七五三の祈りに欠かせない祭具ではありません。由来についても複数の説明がありますので、一つの説に決めつけない方がよいでしょう。
祈祷を受けず、参拝だけでもよいですか

七五三は、社殿で祈祷を受けるものなのでしょうか?

拝殿の前で家族そろって参拝し、感謝と願いを申し上げることにも意味があります。より丁重に節目を祝う場合は、社殿に上がって七五三の祈祷を受けます。祈祷では、一般にお祓いを受け、神職が祝詞を奏上して、子どもの健やかな成長を祈ります。

お参りするとき、家族は何を心掛ければよいでしょうか?

まずは、子どもが今日まで育ったことを一緒に喜び、神さまへ感謝を申し上げることです。写真や衣装の予定を詰め込み過ぎず、子どもの体調や気持ちを大切にしてください。祈祷を希望する場合は、受付期間、予約の要否、初穂料などを、あらかじめ参拝する神社へ確認すると安心です。
まとめ
七五三は、子どもが無事に成長したことを神さまに感謝し、これからの健やかな成長を祈る人生儀礼です。現在の三歳・五歳・七歳の祝いには、髪置、袴着、帯解という成長の節目の儀礼が結び付いていますが、その年齢や男女の別、祝い方には歴史的な変遷や地域差があります。
十一月十五日は七五三の基準となる日ですが、必ず当日に限られるものではありません。数え年と満年齢のどちらで祝うか、晴れ着を用いるか、祈祷を受けるかについても、子どもの成長や家族の事情に合わせて考えることができます。形だけを整えるのではなく、成長への感謝を親子で確かめることが、七五三の大切なところです。
稲荷神社では
ここからは、一般的な説明とは分けて、当社における七五三まいりの実際をご紹介します。
稲荷神社では、十一月十五日を中心とする前後の時期に、七五三まいりを奉仕しています。数え年でも満年齢でもお受けしており、きょうだいで一緒に受けることもできます。
当社では、子どもと家族をお祓いし、御神前で祝詞を奏上して、これまでの成長に感謝し、今後の健康と無事を祈ります。七五三の撤下として七五三守、御幣、千歳飴、撤饌、記念品をお頒ちしています。七五三守と千歳飴の袋は、稲荷神社独自の意匠です。

当社は宮司一人で奉仕しているため、祭典や外祭などで不在となる場合があります。予約がなくてもお受けできることはありますが、祈祷を希望される方は、日時をあらかじめご相談いただくと確実です。受付時期や初穂料など、その年の詳しいご案内は、「七五三まいり」のページをご確認ください。
参考にした主な資料
- 「七五三」神社本庁公式サイト
- 「おまいりする」神社本庁公式サイト
- 「神社Q&A」岡山県神社庁公式サイト
- 『神社の豆知識』「七五三とはどのような行事ですか?」東京都神社庁公式サイト
- 『神社の豆知識』「七五三は数え年で行うのですか?」東京都神社庁公式サイト
- 『神社の豆知識』「六曜の吉凶について教えてください」東京都神社庁公式サイト
- 『氏子―氏神さまとのかかわり―』神社本庁
- 『暮らしの中の暦と祭礼』神社本庁
※七五三を祝う年齢、男女の別、時期、祈祷の受付方法、授与品などは、地域、家庭、神社によって異なります。
※本文の対話は、実際に寄せられた質問や一般に抱かれる疑問をもとに、内容を整理・再構成しています。
執筆・監修:稲荷神社宮司
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